いまだ正式な発表ができないHerman Miller社が復刻するグラスファイバーチェアですが、展示品がお店に到着する日付は判明しているので、そろそろ情報公開ができるんじゃないかな?と思っています。
心待ちにしている人が多いわけなのですが、現在のポリプロピレン製シェルチェアからイームズを知った人にはグラスファイバーってなんのこっちゃ?そして何が良いの?という話も聞きます。
今日は原点に戻っていま一度シェルチェアの話をしますね。
文章ばっかです。
もうお店にないんですけど最初期のサイドシェル。ファイバーたっぷり。 |
FRPはFiber Reinforced Plasticsの略で、繊維強化プラスチックのことです。
これだとただ”繊維”しか指していないのでシェルチェアの場合、正しくはGFRPでしょうね。(G=Glass)
でも同業者とシェルチェアの会話をするときにはFRPという名称をあまり使いません。
たいてい「ファイバー」とか「グラスファイバー」って言ったりします。
こういえばGFRP以外には該当しませんからね。
このシェルチェアの原型は1947年にMOMAとアメリカ流通業界による『ローコスト家具デザインコンペ』に出品されたものです。
当時イームズオフィスでは安価で軽量で成形の幅が広く、若い家族に受け入れられる椅子の製造を目指していました。
イームズは最初アルミやスチールなどの金属を使用したシェルを作ろうとしていたのですが、制作過程の時点で破損が相次ぎました。さらにコストもかかってしまうということで断念。
そこにハーマンミラー社、ノル社、ジョンソン・カーバー社の3社から助言があり、素材をFRPに変更したそうです。当時FRPはジェット機の先端にも使用されるほどの軍需技術が民生に流れてきたところでした。
実際の製造はゼニス(ジーニス)・プラスチック社が最初に行い、ハーマンミラー社に買収されたことにより1950年からはハーマンミラー社のクレジットになっているわけです。
先進的なデザインながらどんな場所でもマッチするルックス、軽くて丈夫、色も豊富、ベースの交換によって用途ごとに合わせられる、etc...などの要素でベストセラーになりますが1989年に製造が終了します。
製造を辞めた理由は”環境に配慮して”ということだそうです。
FRPはリサイクルができないのが難点だったわけです。今は違いますけどね。時代が進むと技術も進みます。
そんなわけでFRP製のシェルチェアを欲しいという理由が何となくわかっていただけましたか?
要はFRPのほうがよりオリジナルに近いということです。
でもまあポリプロピレン製も良いところがたくさんあるので、結局は好みになるんですけどね。
ちなみに金属のシェルを諦めきれなかったイームズはその後ワイヤーチェア(DKR)をリリースします。これにはハリー・ベルトイアの力が大きかったそうですが、彼はその後その技術でダイヤモンドチェアをリリースします。この話はいつか書きますね。ベルトイアの作品でも展示した時にでも。
復刻楽しみですね!
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