日本のFRPイスの話 2017/3/22

皆さん的にはFRP、つまりガラス繊維が入った強化プラスチックのイスというとイームズと思う人が多いでしょうね。

もしくは国内での駅のベンチに使われている素材。
イームズシェルチェアを見て駅のベンチだよねってのは逆です。


ちょっと日本のFRP椅子について書きますね。


これは1965年の「イスのコトブキショー」です。
当時の名前は株式会社寿商店ですよ。

日本に最初に上陸したイームズのシェルチェアという内容を以前書いたのですが、
これ→ http://case-study-shop.blogspot.jp/2015/08/2015824.html
このシェルチェアをもとにFRP製のイスを製作するという試みを始めた剣持勇さんが選んだパートナーがコトブキさんです。

1956年にはFRPの実用化に成功したそうで、それから次々と主に公共の場のイスとして作られることになりました。
まだ日本は畳で座り文化だったので椅子の需要が少なかったからです。

それで駅のベンチで見かけるようになったんですよ。
丈夫でミニマルなデザインはベンチ向き。


このFRPという素材の自由度にデザイナーが惹かれ、その剣持勇さんや豊口克平さん、そして柳宗理さんがデザインした椅子が作られることになります。
それが上写真の光景です。

ものすごいイームズシェルチェア感がするのですが、実際には真似しようとしてデザインしたのではなく、素材を生かし、強度、公共で使える見た目を考え、シンプルにデザインしたらこうなったそうです。

考え方としては、イームズさんは最初から完成されたデザインを作っていたということです。


互いに答えを知らずに道順をたどっていたら同じ場所にたどり着くということですね。


ところで先述のように日本はまだまだイスを使う文化が珍しかったので、住宅向けにこんなFRPの座椅子なんかを作っていたそうですよ。

これはこれで面白いです。


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