新しいKnoll Japanにより、現在のKnoll studioのラインアップの中にチェスカチェアが入っています。
マルセル・ブロイヤーさんの名作ですね。
お値段は¥161,000(税別) ~ですよ。
また日本でKnoll社製のチェスカチェアが手に入りますね。
でもTHONET(トーネット))社のチェスカチェアもありますから、どちらも正規品として存在することになります。
ところで、こういった椅子の形状を”カンティレバー”と呼びます。もしくは”カンチレバー”。
英語で書くとCantileverでして、片持ち構造を意味します。片側だけで支える構造のことです。
ご覧のとおり片側だけでうまくバランスをとり、人が座っても安定感のある構造になっているのが特徴です。
この構造はまだ新しい技術でして、最初に作られたのが1927年です。
あ、全然新しくなかったです。
(椅子としてはという話ですので、片持ち構造は既にほかの製品で存在しました。)
その最初のカンティレバーの椅子がこのチェスカチェアです!と言いたいところですが、1929年にデザインされリリースされたのでちょっと違いますけど、そうとも言えます。
このカンティレバー構造には一悶着ありまして。
確かに製品としてチェスカチェアとしては最初かもしれません、でもその前にオランダ人デザイナーのマルト・スタムさんがカンティレバーの椅子を作っていました。
1927年にドイツ工作連盟が、ミースさんに依頼してシュッツガルト近郊に集合住宅が建設されました。
その設計にスタムさんも参加し、ガス管と金具のみで作った椅子を置いたんです。
美しい椅子カメラ直撮り |
見事にガス管のみです。
ロッテルダムの自宅の妻のために考案されたとか言われているとかなんとか。
ところでこの椅子は座れるんですかね?
無理があるのでは?
ということは置いておいて、すでにカンティレバーの椅子がブロイヤーさんの前に存在しました。
どちらからどうやってかは知りませんが、このカンティレバー構造が誰に著作権があるのかで裁判が起きました。
双方とも自分だと主張しますが、ドイツ連邦裁判所はスタムさんの著作物であるという判決を下さしました。
そんなことがあり、カンティレバー構造の椅子は、マルト・スタムさんがデザインしたものということになったんです。
しかし”著作物”なんですね。工業製品ですし意外な判決が出ていますが、プロダクト(一応芸術の分野として扱われているみたいですけど)で著作物と認められた最初のケースらしいですよ。
意匠物や著作物やごっちゃになっている人を見かけますが、全然別物ですから曖昧に書いちゃダメですよ。
著作権が切れてるからとか説明しているのを見ますけど、そんな家具があったら教えてほしいぐらいです。意味がわからなさ過ぎます。
でも、製品として最初なのはブロイヤーさんに違いないので、カンティレバーの椅子としてファーストの存在がチェスカで私は正しいと思います。
スタムさんのガスパイプチェアは実験的なものにみえますし、実際にこれを製品として流通させるのはあまりに現実的ではありません。
ブロイヤーさんが、スタムさんのガスパイプチェアを見て真似したからという判決をされているのかしれませんけど、その辺の深くまでは当事者じゃないとわかりません。
けれども、スチールパイプを曲げた構造の椅子自体ブロイヤーさんは1926年の時点で存在しますし、ネストテーブルなら1925年です。
だから自然と同じようなものが作られたとも考えられます。
それに、先ほども書きましたがカンティレバー構造自体は既に別の製品で存在するので、そっちを参考にしたとも言えますし。
こんな話があったのですが、それはそれとして、チェスカチェアは金属の名作椅子として、バウハウスの素材と機能を求めた理念が見事に体現された傑作には違いないです。
久々にためになる話を書いてしまいました。 (自惚れ)
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