バブルランプの発売当時の模造品対策



ジョージ・ネルソンさんのバブルランプについて今日は書きます。




ストーリーはこのあいだ書いたとおりですが、渡辺力さんのハーマンミラー物語に興味深い話が書いてありましたので引用します。


 
”ジョージ・ネルソンのベストセラー<バッブルランプ>が、ハーマンミラー社の姉妹会社ハワードミラー社から売り出されることになりました。
この製作手法は、パテントがとれなかったため、二、三ヶ月の間に二十いくつかのイミテーションが出てきました。苦しい自衛手段でしたが、メーカーを説得し、初めにつけた値段の五十ドルを三十どるに値下げさせました。スタートから製品はたいへんよくできていたので、売れ行きも順調でした。利益を設備費に回し、大量生産方式をとることによってコストを切り下げて、模造品に勝つことができ、それ以来安定したマーケットを持つことが出来ました。
 
このバッブルランプは、どうやら海賊どもを追いちらした数少ない一例ですが、万事こううまくゆくとは限りません。こういう海賊行為の直接の被害者は、新しく何かを創り出そうという意欲に燃えたデザイナーやメーカーであり、それらの人たちに与える経済的ダメージを考えれば、誠に憎むべき犯罪行為といえるのではないでしょうか。”
引用:渡辺力『ハーマンミラー物語』 P83-84 平凡社



バッブルはこの本での呼び名です。

最初からイミテーションがたくさん作られたというのが興味深いです。それだけ当時は画期的で魅力的な構造の照明だったんですね。
確かに古いアメリカの照明でバブルランプのような構造の照明をいろいろ見かけるはずです。

今でこそジョージ・ネルソンさんの名前は有名ですが、まだこの当時は新進気鋭のデザイナーだったわけです。模造品対策は値下げという苦しい方法をとらざるを得ないのかもしれません。いや苦しい方法ですよね。いろんな意味でも。

バブルランプは50年代の照明なのですが、今現在までも模造品問題が続くとはネルソンさんも力さんも予想していたでしょうか。


それだけ優れた照明だからこそ現在も残り、当時から注目を集めていたんですね。
魅力的なデザインな悩みです。


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